デジエット・リトリート開催②

@御岳山 2025年 春

· デジエット体験記

前回のメールからの続き、御岳山で行われたデジエット

リトリートのリポート、後半です。

    

宿泊した宿坊「能保利」さんは、自家栽培の新鮮な野菜

や手作りの刺身こんにゃく、周辺で採れる山菜などの山

料理が自慢のお宿。そしてその味や食感を損なわないた

めの、とても丁寧な調理が施されていました。野菜を噛

むと、その音がまるで山彦のように口の中で響き渡るほ

どです。

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その贅沢な夕食でおこなう食べる瞑想。目で見て鼻で

匂いを嗅ぎ、ゆっくりと噛み締め、舌でその味を堪能す

る。飲み込んではのどを通り、胃へと落ちて一息つくの

をしっかりと見届ける。

   

15人ほどが沈黙の中でただ一心に食事と向き合い、聞こ

えてくるのは隣で噛み締める沢庵の音と、時折茶碗に触

れるお箸の音のみ。「ああ日本だな」となぜか感じまし

た。そしてそれが、この上なく贅沢な時間だとも思った

のです。

   

テレビもスマホもない時間というのは、当たり前なので

すが静か。そんなことを五感を通してみんなで実感する。

終了後の集中と落ち着き、満足感は、今までに感じたこ

とがないほどのものでした。

  

食後は源さん(山口源忠さん)が対話の時間を作ってくれ、

心からの言葉を互いに聞き、話しました。夜からは逆に

サイレンス(沈黙)の時間を取り、外に向けていたエネル

ギーを、漏らさずすべて中に蓄える。必然的に湧き上が

ってくる、自分の内面の声に耳を傾けることになる。

  

そして早朝には鐘の音とともに大広間に集まり、静かに

瞑想をする。ダーさんの優しい声のリードが空間に広が

り、落ちて着く。その心持ちを持って、外で行う歩く

瞑想へと向かいました。

 

足の裏をしっかりと大地にグランディングさせ、丁寧に

歩く。早すぎず、遅すぎずの足取りで。樹齢千年のけや

き角を曲がり、神聖な神社の境内を抜け、朝日の斜光が

差す山道を抜けると、そこには水墨画のような山々と、

遠くに望む関東平野が広がっていました。

 

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生命力あふれる朝の光を全身に浴び、みんな思い思いに

祈りを捧げている。それは言葉に出すと陳腐ですが、と

ても美しい光景でした。

みんな生きているんだと強く実感できる瞬間であり、

その光景に対してシャッターを押せる、僕自身もまた幸

せでした。

  

私たちの日常の中で、このように何に依ることもなく

手を合わせるようなことは難しい。だけれども、その気

持ちを思い出した後は、きっと自然に行動が変わるので

はないでしょうか。

  

デジタルに頼らずともある本来の幸せ。それを実感して

からの、デジタルとの調和した暮らし。今回はそれを

取り戻すための、本当に素晴らしい機会になったと思い

ます。

  

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スマートフォンの返還式を済まし、手元に戻ってきた彼。

電源のボタンを押すのを少しためらう僕。そんな関係性

が、これからの日常の中でゆっくりと溶け合っていくの

でしょう。

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「また参加したい」との声を多くいただきました。良き

時期にまた開催できるといいなと思います。みなと一緒

に、一口一歩をかみ締める、あの幸せな時間が来ること

を楽しみにして。